- ナノ -


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 鬱蒼とした森の中を、竜は歩いていた。突然、どこからか呼びかけられた気がして立ち止まったが、誰もいない。気のせいかと思って歩き出すと、また声がする。注意深く周囲を見つめた先に、いた。深緑の鱗を持つ竜だ。すっかり森の草木に溶け込んでいる。
 こんな見かけだから、なかなか気づいてもらえなくてね、と彼。森の外で暮らしたりはしないのか、と竜は問う。深緑の竜は、それでもやっぱり、ここが好きなんだと少し照れくさそうに笑った。


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