- ナノ -
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青い空へ突き抜けそうなほどの黄。向日葵は、まるで小さな太陽のように大輪の花を輝かせていた。きれいね、と少女。でも私、なんだかちょっと悲しいの。なぜかと竜は問う。少女は目を伏せ、言った。もう、これ以上に美しくなることはないのだもの。枯れていくだけよ。
高く昇った日に呼応するように向日葵はますます明るく笑う。未来など知らぬように。
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