- ナノ -
304
昼間はあんなにぐらぐらと暑いのにさ、と彼女は言った。夏でも、朝早い時間はびっくりするほど涼しかったりするよね。竜は山の端から徐々に明るくなってゆく空を見上げて頷く。心なしか景色もさっぱりとして見えるようだ。もう少し飛んでおくか、と竜は彼女に声をかけた。いいね、と彼女は笑うと、竜の背にひらりとまたがった。
[
←
〇
→
]