だいすきだったから
- ナノ -



だいすきだったから

すべてを手放しても
きみのそばにいたかった。

なにもかも壊れても
きみのそばにいたかった。

風よ、吹け。
雨よ、降れ。
 
この思いなど、
風雨にのまれて いっそ
消えてしまうがいい。

きみを知らなかったころに戻れるのならば
どれだけ幸福なことだろう。
しかし どんなに不幸なことだろう、
きみを知らないでいるというのは。

やり場のないこの心は
怒りか、悲しみか。
 
いまはただ、この嵐に
身を任せるほかはない。




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