- ナノ -


288
 
 こっちこっち、こっちだよ、と、竜を旧友の飛竜は急かした。あたりはすでに薄暗い。人里も離れ、眼下の森は黒く横たわっている。この先に何があるのか想像がつかない。しばらく飛んだ後、その彼が急に止まった。ほら、ほら、見てごらん! 彼がそう言ったか言わないうちに、森の一部がほのかに明るくなった。それは次第に強さを増し、美しい光の道を描き出す。なるほど、川と蛍か。竜は感嘆の声を上げた。飛竜はにっこりして頷いた。


[ ]