選ばなかった道
- ナノ -



選ばなかった道

あのとき
きみの手を離すべきではなかったのか
あのとき
きみをつかまえておくべきだったのか
あのとき
「行かないで」と引き止めるべきだったのか

いまとなってはなにもわからない
だが後悔しているかと言われると
すぐには首を振れない自分がいる

手を離さない誘惑を
つかまえておく欲望を
引き止める願望を

すべて振り払って
私は 賽を投げた

選ばなかった道の先に何があったのか
それすらなにもわからない
いまはただ 過ぎ去った思い出を
ひとり静かに思い返すだけ

さようなら、と。
私はうまく笑えたでしょうか。




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