- ナノ -
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どうして殺さないのだ、と彼女は叫んだ。竜は人を喰い、滅ぼすのだろう。鎧に身を包んではいるが傷だらけの彼女を、竜は静かに見た。そして言った。では聞くが、人間とは皆、竜を殺そうと思っているのか。共に歩もうと思う者はいないのか。言葉に詰まる彼女の前に、竜はどこからか持ってきた薬草を置くと、その場を立ち去った。
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