- ナノ -
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泉の水を飲もうと身を屈め、水面に映った自分の姿に竜は目を瞬かせた。いつの間にか、頭に一匹の蝶がとまっている。前にもこんなことがあった、と竜は思った。髪飾りみたい。一緒にいた少女が、そう言って微笑んだのを覚えている。懐かしい思い出だ。竜は蝶が行ってしまうまで、しばらくじっとしていた。
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