- ナノ -
215
ぼくにはとてもできないんだ、とその緑竜は言った。もし、背中に乗せてる人を落としてしまったら。もし、何か事故があってぼくもろとも地面や海に落ちてしまったら。そう思うと、人を乗せて飛ぶなんて。
竜は頷く。それは臆病なんかじゃない。それもまた、正しい在り方だとわたしは思う。そうかな、と緑竜は呟いた。きっとそうだ、と竜は返した。
[
←
〇
→
]