- ナノ -


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 氷竜がふっと息を吹きかけると、みるみるまに氷柱がひとつできあがった。人間はそれを、大小様々なノミやナイフなどで繊細に刻んでゆく。竜が数日後に氷竜と人間のもとを訪れると、氷柱は見事な街の像になっていた。こいつが質のいい氷を作ってくれるからな、と言う人間に、あんたの腕がいいからだ、と氷竜。いい相棒同士だ、と竜は笑った。


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