- ナノ -


187

 昔むかし、一頭の竜がいました。その竜はとてもくいしんぼうで、ケーキが大好きだったそうです。なかよしの青年からケーキをもらうと、それはそれはうれしそうな顔をしたといいます。
 これは、ちいさなころ祖母から聞いた話。彼女はその話がとても好きだった。なぜだか、いまもどこかでおいしそうにケーキをほおばる竜の姿が、はっきりと思い浮かぶのだ。


[ ]