- ナノ -
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赤い風車をふーっと吹く。なかなかうまく回らない。かなしげな人の子のそばに、いつのまにか竜がやってきた。竜はそっと、草原を渡る風のようなやさしさで、風車に息を吹きかける。くるくると回り始めた風車を見て、人の子はぱっと笑顔になった。うれしそうに駆け回るその子をしばらく見守り、竜は飛び去った。
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