- ナノ -
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海と空の果てに、忘れられる者のゆく世界があるという。遥かな水平線を見つめながら海竜は言った。この世界に生きる場所を失ったとき、われわれもそこへゆくことになろう。彼の視線を追いながら、竜は呟く。竜も、人もか。海竜はうなずき、言った。皆、いつかはそこへ向かうのだ、と。
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