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- ナノ -


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 少女は竜の角に、とりどりの花で編んだ輪を掛けた。いいことがあるおまじない。そう言って少女は太陽のように笑った。ほどなくして彼女は遠い街へ行ってしまった。戦火を逃れるためだったという。竜は花の輪をずっと角に掛けていた。花が枯れ、茎がちぎれ、風に舞い散るまで、ずっと。


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