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- ナノ -


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 眠るの好きなんだ、と彼女は呟いた。眠ってるときは、どんな苦しいことも、悲しいことも、忘れていられるから。毛布に包まる彼女の横顔が、焚火に照らされ、ゆらゆらかがやく。やがて彼女は、夢さえ届かない眠りの深みへと旅立っていった。ちいさな背中を、竜は尻尾の先でそっと抱いた。


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