- ナノ -
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竜に乗るにも得手、不得手があるらしい。特に、竜の背に鞍を置かない竜乗りは一筋縄ではいかない。幾度も落ちかけながら、その少年は、鞍のない竜の背に乗る練習をやめなかった。おまえの父親はたいそううまく乗ったものだがな、と、飛んだ後の竜酔いに襲われる少年の背中を、竜はからかった。うるさい、それでも。少年はきっ、と夜空を見上げる。それでも、ぼくは空が好きなんだ。少年の強いまなざしに、竜は幼き日の少年の父親を見る。たいしたものだ、と、竜は笑んだ。
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