- ナノ -
14
その男は、かたわらでいつも本を読んでいた。字ばかり眺めて、そんなにたのしいのか? 竜は男を一瞥して言った。ええ、とても。それに、こうしながら思い出を本にはさんでいるんですよ、と男はこたえた。人間の言うことはよくわからない、竜はそう言ってそっぽを向く。
男は静かにほほえんだ。次にこの本を読むときには、きっとあなたのことを思い出すでしょうね。そう、心のなかで呟きながら。
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