- ナノ -
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虹など決して到達できない理想なのだ、と、友は言った。虹を目指して飛ぼうと、絶対に追いつけないのだから。
確かにそうだった。飛んでも飛んでも、虹に近づくことすらままならない。だが竜は、飛ぶ間に、咲き乱れる花を見た。草原を駆ける生きものを見た。海を見、そして空を見た。その光景はふしぎと、虹と共に、竜の心を照らし続けているのだった。
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