- ナノ -




 踏まないよう、足の先でそっと花々をかき分け歩いた。彼女はふふ、と笑う。竜でも、花は気になるんだ? 竜はどことなく照れくさくなり、ふい、とそっぽを向く。飛んじゃえばいいのに、そう言いかけた彼女は、ふと、何かに気づいたように竜の顔をのぞきこんだ。飛んじゃったら、近くで花を見れないものね。彼女はそう言い、花のように笑った。


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