- ナノ -
3
あのときも、竜は涙を流していた。存在することで、あらゆる生きものを脅かしてしまう。それなら自分はこの世界から消えたほうがいい。しかし少女は言った。わたしは、あなたが好き。だから生きて、と。それきり少女は戻らなかった。その頃はもう、人が竜に会うことは、大罪であった。
[
←
○
→
]