- ナノ -
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ということは、ここにいる竜はみな、この喫茶店で働く竜なのか? 竜が興味深げに問う。店員はこくりと頷いて言った。そうだよ。みんな、人間のお客さんのために力を貸してくれてるんだ。
広い店内には机どころか椅子さえ一脚もない。その代わり、大小様々な竜が体を伏せている。客は好みの飲み物を持って、竜たちの近くで過ごす。話したり、ただ寄り添ったり……。
人々は一様に、ほっとした表情を浮かべていた。
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