- ナノ -



 竜はそこにいた。暮れていく空の雲を見ていた。太古の昔から変わらぬ雲だ。しかし、と竜は思う。静かに目を閉じる。鮮やかにうかんでくる、竜たちの姿。雲を切り裂いてはばたく、その凛々しい翼。いまはみな、いなくなってしまった。長い時の果てに。雲と、最後の竜だけを残して。



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