- ナノ -
924
透き通った氷柱の中に、竜が眠っている。このあたりの氷の護り竜なんだよ、と火竜が旅の竜に言った。目覚めて氷の中から出てくることはないらしい。ただ、死んでいるわけではない。冷気と氷を生み出して、この地の環境を守っているという。
旅の竜は、氷柱の竜を見つめた。ただ冷たいだけではない。あたたかみ、と言っていいような優しさが、そこから流れてくるようだった。
[
←
〇
→
]