- ナノ -
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洞窟の奥の、地底湖が静かに青い水を湛える場所にその竜はいた。半透明の薄水色の鱗と皮膚。翼のないその背中に大きく張り出した背鰭は、洞窟に差し込む僅かな光できらきらと輝いている。私も人と仲よくなりたかった、とその竜は旅の竜に言った。旅の竜は薄水色の竜の体を、もう一度よく見た。引っ掻かれたり、砕かれたり、折られたり……それはもう、傷だらけだった。
"宝石"を身に纏う竜は、弱々しく笑って、湖のほとりに身を横たえた。
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