旅人と竜3
- ナノ -




子竜羽ばたく向こうの丘

そこから戻る影ひとつ

竜ら さっきの旅人が

子竜に会ったことを知る

あわてて駆け寄り竜は言う

これはまことにお恥ずかしい

年端のいかぬ子のことです

どうか許してやってくださいませ

まったくもって 飛ぼうなど 

愚かな竜だったでしょう――

旅人 かすかに笑ったが

まっすぐ貫くその視線で

竜らをひたと見据えながら

ひとことだけ こう言った


なるほど たしかに 愚かでした

わたしや あなたたちと 

同じくらいに ね


そのまま 旅人 礼をして

彼の旅へと戻ってゆく

口をあけたまま 何も言えぬ

小さな羽の 竜らを残し――








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