- ナノ -
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今日こそは。竜に乗って空に舞い上がりながら、彼は瞳をきらめかせる。絶対に春一番を捕まえてみせるんだ。いつその風が吹くかはわからないぞ、と竜が言う。彼は頷いた。わかってる。でも待っていられないんだ。春を。
空は明るく開けている。長い冬の終わりを告げるように。
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