『p』と『q』
- ナノ -

『p』と『q』


ただひとり、佇んでいた、
彼は『p』、ひとつの点。
何もない地平に、
ただひとり、ひとりきり。

ただひとり、佇んでいた、
彼は『q』、ひとつの点。
果てしない水平に、
ただひとり、ひとりきり。

ただひとり、佇んでいた、
ずっと、ずっと、長い間。
しかし、『p』は『q』を見た。
しかし、『q』は『p』を見た。
そうして、いつしか、思っていた、
ひとりは寂しい、孤独だと。
君と会いたい、話したいと。

近づき、離れ、また近づき。
離れ、近づき、また離れ。
それでも不器用に、引かれ合う。

ふたつの全く異なる点が
ただ ひとつの点となる、
そんないつかを、
ただ 夢見て。








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