- ナノ -


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 私は、とその緑色の鱗の竜は言った。近くにある植物の生命力を吸い取ってしまう。だからここにいるの。
 一面、草も生えないような痩せた土地。確かにここなら、植物を枯らしてしまう心配はないだろう。だがそれでは、自分の力が弱まって生きていけないのではないかと、話を聞いていた竜が問う。緑竜は力無く笑った。
 年月が経ち、竜が再びこの土地を訪れたとき、緑竜の姿はなかった。しかし、かつて緑竜と話した場所……ちょうどそのあたりから、瑞々しい草花が溢れんばかりに芽吹いている。竜は静かにその傍に降り立ち、緑竜のために祈った。


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