あこがれのチカラ
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あこがれのチカラ


 突然ですが、私は「あこがれ」ってものすごい感情だと思っています。
 「あこがれ」と「好き」の違いってなんだろう。もちろん、どちらも誰か、もしくは何かに好意的な気持ちを持つ、ということでは同じです。
 けれども、「あこがれ」には「好き」とは大きく違っていることがあると、私は思っています。それは、ただ「好き」なだけではなく、「あこがれ」ることのできる人やものに対しては、自分もそうなりたいという強い思いをもてることが多いということです。
 たとえば、あなたに「好き」な作家さんがいるとします。すると、あなたはその作家さんの作品を見たり、読んだりするだけで、たいていは満足することでしょう。
 しかし、その作家さんが自分にとって「あこがれ」の存在だった場合。そんなときには、ただその人の作品を見たり、読んだりするだけでは満足することができません。自分もこの人のような作品を作りたい、この作家さんのようになりたい、と思うのです。
 人間にとって、いつでも上をめざして努力し続けることは本当に難しいことです。目標を立てて、さあ今からこれを達成するためにがんばるぞ、と思っても、ある程度のところまでくると、まあこれぐらいでいいかと中途半端に満足してやめてしまうことは多いものです。
 けれども、本当に「あこがれ」ることのできる何かがあれば、私たちはその存在に少しでも近づきたいと願います。そしてそのために、自分の心にあまり負担をかけることなく、自然とがんばり続けることができるのです。
 行き詰ったり、あきらめたりしそうなときでも、「あこがれ」の人やものが自分と同じ立場だったらどうするだろう、とそっと考えてみることで、一歩前に進めることもあります。
 「あこがれ」は、やさしく、静かに、時には厳しく、私たちを支えてくれるものなのです。
 先輩でも、先生でも、友達でも、有名人でも、漫画やアニメや小説のキャラクターでも。どんな人、ものだってかまいません。
 ただ「好き」なだけではなく、自分が心から「あこがれ」を持つことのできる誰か、何かを見つけてみてください。そうしたとき、毎日は輝き、あなたにとってよりかけがえないものになってゆくことでしょう。
 それが、あこがれのチカラです。





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