あとがき H27.9.22
- ナノ -


あとがき H27.9.22


 伝えたいことはすべてあのころの自分が述べている。
 だから、ここではあまり多くを語らない。

 日々、生きていくなかでは、あまり表に出ない部分だ。この書き物を文芸誌に載せるときも、ある種、緊張した。
 そしていま、文芸誌よりも大きなインターネットというフィールドに、この文章を託そうとしている。それもやはり、緊張すること。
 だが、この書き物は、書いてから数年あまりを経過した現在でも、あいかわらず私のなかの基礎的な部分を形作っている。それはたしかで、だからこそ、たくさんのひとに読んでもらいたいと強く願う。私の知っている、多くのひとにも。私の知らない、多くのひとにも。
 もしかしたら、この不器用な書き物と生き方が、不器用であるからこそ、誰かのこころに寄り添えることもあるかもしれない。もしもそんなことがあるとするならば――それは、さいわいである。

 悩み、迷い、苦しみ……いまも悩んでばかり、迷ってばかり、苦しんでばかりだけれども、いまのそれらとは、どこか質感が違う。苦くて、それでいて、ほんの少し甘い……きっとあれが「青春」というものだったのだ、と、いまさらながら、ほんとうにいまさらながら、ふとそう感じる。
 

 この書き物を、ふだん、いろいろなかたちで私を支えてくれるすべてのひとに贈ります。
 
 大切な、あなたたちへ。




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