- ナノ -
627
別れを惜しむように、小さな体を寄せる仔竜。この子が大きくなるのを、竜は見守ることができると思っていた。しかしそれは叶わない。親の竜に促されるようにして、仔竜は竜から離れた。彼らも渡るのだ。西の彼方へ。
夕暮れの空に、竜の親子は黒い影となる。やがて、西へ向かう数多の竜の影に溶け込んで、わからなくなった。
[
←
〇
→
]