▼口ずさむ歌はいつも
「お、俺…秋禅さんが好きです!その歌…いや、その声を俺だけに聞かせていてくれませんか…!」
「………ごめんなさい。私、好きな人いるから…」
「誰ですか!俺、こんなに好きなんです!ずっと秋禅さんを見てたんです!」
ガシッと彼女に掴みかかり訴える。しかし彼女は首を横に振るばかりだった。
「俺だけの、俺だけのものになってよ!!離さない…!頷いてくれるまでは…!」
「嫌…っ離して…!私は…っ
雲雀さんが好きだから…!」
僕は頭を金槌で打たれたかのような衝撃を受けた。
「私が屋上で歌ってるのは雲雀さんに聞いてほしかったからで…あなたに聞かせてたわけじゃないわ…!」
涙を浮かべ相手を睨み付ける彼女の瞳は嘘偽りがないかのように真剣そのものだった。
僕はその彼女を抱き上げ男子生徒に向かって
「諦めるんだね、彼女は僕のものだから」
そういってその場を去った。
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