この間のサイクロンスタジアムの竜巻にも驚いたけど、今度のスタジアムにもやはりというか驚いた。サイクロンスタジアムみたいにランダムに竜巻が起こる訳じゃないけど、このスノーランドスタジアムのフィールドは凍っていてよく滑る。

今だって速水とのパス練でボールを受け止めたのはいいものの、その後に思いっきり転んだ。ボールの来る場所が分かっていても、足が滑ってパスもまともに受けられない。

その横では白恋の奴らがまるで普通のフィールドと変わらないと言わんばかりにウォーミングアップをしている。あそこまでとはいかないけど、試合前までになんとかこのフィールドに慣れようと、俺たちは試合が始まるまでフィールドで練習した。


ウォーミングアップの時間が終わり、俺たちがベンチに戻れば音無先生から錦がイタリアから帰って来てること、そして今まさにこのスノーランドスタジアムに向っているということを知らされた。錦が帰ってくることに俺たちが喜ぶ横では、天馬たち一年は錦がどんな奴なのかと興味津々だ。

試合開始には間に合わなそうだなんて考えて考えていると、円堂監督が俺のいる方へととやって来た。なんだろうと思いながら、目の前にやってきた円堂監督を見上げる。

「浜野、随分派手に転んでたけど大丈夫か?」
「あ、見てました?」

派手に転んだところを円堂監督に見られていたらしい。他の皆も滑ったりしてたけど、盛大に転んでたのは俺だけだったから目立ってたのかも。

「ちょっと手を出してくれないか」
「手っすか?」

理由は分からないけど、とりあえず俺は手のひらを見せるように円堂監督へと両手を差し出した。一体なんだろうと思いながら円堂監督の動きをじっと見ていれば、円堂監督が差し出した俺の手をぎゅっと包むように握り締めた。

「やっぱり冷たいな」

そう言って円堂監督は先程より少しだけ強く俺の手を握った。自分の手が冷たいこともあって、円堂監督の手がすげーあったかく感じる。

「あー、滑って手つきまくってたんすよね」

手を取られたままそう答えれば、指先から手の平へと温度を確かめるように円堂監督の手が下りてくる。握られている手を温かいと感じる中、円堂監督の手ってこんなに大きいんだと握られている自分の手と円堂監督の手をじっと見ていると、鬼道コーチが円堂監督を呼ぶ声が聞こえた。

「じゃぁ浜野、試合前まであったかくしてろよ」

手だけじゃなくて身体もなと言って鬼道監督のところに歩いていった円堂監督から先程まで握られていた自分の手へと視線を向ける。少ししか握られていなかったけど、なんかさっきより手がすっげーあったかくなった気がする。不思議なもんだなと思いながらもよしっと一言入れて俺は拳を握った。




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