*もし48話で南雲が仲間になっていたらな話
俺の入部試験と銘打った円堂の実力を見るための腕試しが終わり、俺はイナズマキャラバンに受け入れられた。俺を怪しむ奴らもいたが、入り込んでしまえばこっちのものだ。しばらくは様子見も兼ねてこのチームに居座ることを決め、俺は現在も雷門の練習に参加している。
俺たちに勝とうと必死に練習を繰り返す雷門の連中。どう考えたって俺たちに勝てるわけなどないのによくやるものだ。そんな特訓やら究極奥義やらで勝てるほど俺たちは甘くない。
「よっ、このチームにはもう慣れたか?」
休憩中に後ろから現れたのは炎のストライカーを探しに沖縄に来ていた雷門との接触をはかるために俺が最初に話しかけた奴の一人、確か土門とかいう奴が声をかけてきた。
「まぁまぁってとこだな」
少し離れた場所で練習に励む円堂を見れば、馬鹿みたいに大声をだして練習に励んでいる。その円堂の一声にまた雷門の奴らが気合を入れ直し、更に練習に取り組む姿は俺から見れば無駄な努力でしかない。
「なぁ、南雲」
先程話しかけてきたときより少しだけ声のトーンを落とした奴の声に、俺は視線を円堂から奴へと戻した。
「一緒にいれば一緒にいるほど、近くなれば近くなるほど抜け出せなくなるぜ」
まるで何かの謎かけのように言われた言葉に俺は眉間に皺を寄せた。
「はぁ?意味わかんねぇ」
「まっ、経験者は語るってやつさ」
正直な感想を述べれば奴は最初に話しかけてきたときと同じような声の調子に戻し、円堂を見つめていた。
「土門ー!南雲ー!」
それに気付いたのか、それともただの偶然か、円堂は俺たちのいるほうへとでかい声をあげて手を振ってきた。それに奴がおぅと一声返せば、円堂は笑ってまた練習へと戻っていた。
「円堂がお呼びだ。そんじゃ行きますかね」
ぐっと背伸びを一つして、奴は円堂の元へと歩きだす。その後ろ姿と先程の言葉を思い出しながら、俺はもう一度意味わかんねぇと呟いた。