「姉様。」
 
終った。豊臣も織田も、終った。
 
「…かすが。」
 
姉様はここで眠ってる。里に程近い森で。
あの男の骸と共に。あの男と供に。
 
「姉様は、幸せだったんだ。」
 
病魔に蝕まれ今にも死にそうな男を殺すのは簡単だった。
怒りに任せて振るったクナイは、簡単にあの男の命を散らした。
 
「あの男のために、あの男のせいで。」
「………。」
 
なのに、あの男も笑ったんだ。ねえさまと、同じ顔で。
 
「笑ってたんだ。最期に。」
 
姉様に寄り添う様に倒れた白い男は笑っていた。
姉様の手に己の手を重ねて微笑んでいた。
 
「姉様は、幸せだった。」
「…あぁ。そうだな。」
 
幸せだったんだ。最期まで。
 
  END