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海の家に入ると、土方さんがいた。
座敷に座って麦茶を飲んでいる。
やはり暑さを避けるためかと思ったが、その佇まいは涼しげで、あまり堪えていないように見える。

「なまえか。こちらに来なさい」

「はい、土方さん」

土方さんに呼ばれて、促されるまま私は土方さんの向かい側に腰を降ろした。

「こうも暑いと冷たいものが欲しくなるだろう。何でも好きなものを頼みなさい」

「わあ、ありがとうございます」

と、そこへ尾形さんが入って来た。

「こんなところにいたのか、なまえ。探したじゃねえか」

「えっ、何ですか?」

「せっかくのプライベートビーチなんだ。泳ごうぜ」

「あ、いえ、私はいいです」




「良かったのか?こんな年寄りといるより楽しめただろうに」

「土方さんと一緒にいるほうが楽しいです」

「……そうか。嬉しいことを言ってくれる」

土方さんに頬を撫でられる。
大きな手は硬く、乾いていて少しかさついていた。
全く老いを感じさせない瞳の力強さにドキドキと胸が高鳴った。

「おいで」

私はまるで催眠術にかかったように立ち上がり、ふらふらと土方さんのところまで歩いて行った。
そんな私の腰を抱き寄せ、土方さんが自分の膝の上に座らせる。

土方さんに跨がるように腰を降ろしているため、ちょうど私の下腹部に土方さんの硬い膨らみが当たっている。
それを大きく硬く育てるように私は下腹部を押し当てて擦り上げた。

「ふふ……悪い子だ」

「ん、おっきくなってきましたよ」

「どれ、私も可愛がってやるとしよう」

「あんっ」

土方さんの手が水着の中に入り込み、私の胸をやわやわと揉みしだく。

「……コホン」

土方さんしか見えていなかった私は、突然聞こえた控えめな咳払いに、ハッと我にかえった。

「お邪魔して申し訳ございません。ですが、スイカがちょうど食べ頃に冷えたのでお持ちしました」

永倉さんが申し訳なさそうな顔でスイカを持ち上げて見せた。

「ああ、すまないな」

土方さんがさらりと言って笑う。
まるで悪戯が見つかった少年のような顔で。

「では、切りますか」

「いや。そのままでいい」

土方さんが腰の刀を抜いて立ち上がった。

「せっかくだから、スイカ割りをするとしよう」



「もう少し右です!」

目隠しをした土方さんにスイカがある方向を教える。

「そのまま真っ直ぐ!そこです!」

シュパアァァ!

振り下ろされた刀により、スイカは見事に真っ二つに割れた。
さすが土方さん!

「さすがですな」

永倉さんも嬉しそうだ。

スイカは永倉さんによって切り分けられ、私と土方さんは並んでそれを食べた。
よく冷えていて、甘くて美味しい。

「食べ終えたら、部屋に戻って先ほどの続きをするか」

土方さんに耳元でそう囁かれ、私は頬を染めながら頷いた。

暑い夏。

好きな人と、組んずほぐれつまぐわいあうのも、また夏らしくて良いものだと思う。




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