8月に入っても暑さは衰えることなく、うだるような日々が続いている。 今年は酷暑ということで冷房が大活躍だ。 電気代の心配をせず冷房を使えるのはありがたいけれど、肌が乾燥してしまうのだけはどうにも困った。 贅沢な悩みかもしれないが仕方がない。 お風呂上がりに、潤いを与えるべく化粧水と乳液をお肌にぺちぺちなじませていると、尾形さんがその様子をじっと見つめていることに気がついた。 「尾形さん?」 「いや、女は大変だと思ってな」 「尾形さんだってメンズローション使ってるし、整髪料やシェービングクリームには結構こだわってるじゃないですか。同じですよ」 「それでも、男のほうが楽だろ」 「うーん、確かにそうかも」 「来いよ。手入れした成果を確認してやる」 「えっ、あ、ちょっと、尾形さ…ひゃッ」 尾形さんに引き寄せられたと思ったら、いきなりすりすりと頬擦りされた。 「もっと色気のある声出せよ」 「だって、くすぐった…いたい痛いッ」 お髭がチクチク刺さってる。 この人わざとだ! 「ん?こっちのほうが好きか?」 「んんッ、首筋やだやだッ」 首筋に頬擦りされ、おまけとばかりにちゅっちゅとキスをした後できつく吸い付かれる。 そこが弱いのを知っていてやっているのだからタチが悪い。 「次はどうしてほしい?」 「うう…」 「俺は優しい男だからな。お前に選ばせてやるよ」 私がどう答えたとしても、結局食べられてしまうことに変わりはないのだ。 「ほら、言ってみろ」 片手で髪を撫で付けながら、甘い声で囁く尾形さんは、本当にタチが悪い人だと思う。 「尾形さんのスケベ!」 「フン、まずはその口からか」 ベッドに押し倒され、文字通り口を塞がれる。 次第に深く情熱的になっていく口付けにあっという間に思考は蕩けて、あとはもう尾形さんのなすがままに美味しくいただかれてしまったのだった。 |