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星が綺麗に見える夜空の下、私達は焚き火を囲んで車座になっている。

ラウォマプと呼ばれる川魚用の罠にかかっていた魚に木の串を通したものを焚き火の端に刺して、塩焼きにしているところだった。
一部の魚は木の枝に吊るし凍りづけしてルイペにしてある。
こちらは保存用だそうだ。

「尾形さんもこっちに来ませんか?あったかいですよ」

一人だけ少し離れた場所で大木に背を預けて座っている尾形さんに向かって声をかけると、彼は意外にも素直に立ち上がった。
相変わらず銃を片手に持ったまま、オールバックの髪を手で無造作に撫で付けて歩いてくる。

出会った時から尾形さんはこの愛銃を片時も側から離そうとしない。
杉元さん達が何も言わないところを見ると、軍人、それも狙撃手としてはそれが当たり前のことなのだろう。
文字通り、命を預ける半身のような存在なのかもしれない。

「ここ、どうぞ」

隣のスペースを手でぽんぽんと叩いて促す私を一瞥したかと思うと、小さい子供にするみたいにひょいと抱き上げられ、胡座をかいた脚の上に座らされた。

「お前から誘ってくるなんて、随分大胆になったじゃねぇか。なぁ、なまえ」

「す…杉元さん助けて!」

「尾形ぁ、見せつけるのやめなさい。誰もとらないから〜」

「ふん」

「アシリパちゃん!」

「なまえ、焼けたぞ。お前も早く食べろ」

ダメだ。一番頼りになるアシリパちゃんはお腹をすかせていて焼魚を食べることに夢中になっている。

「おい!なまえちゃんを離……いえ、何でもありません」

脚の上で私を横抱きにしたままの尾形さんに銃口を向けられた白石さんは、青い顔で両手を挙げて後退った。

「お、尾形さ…」

「動くな。逃げるなら両足を折る」

「ひぇっ」

「それより、もう焼けたんだろ。早く食えよ」

「このまま…?」

「何か不満でも?」

「イエ、イタダキマス」

尾形さんが取って渡してくれた焼魚の串を受け取り、腹のあたりにかぶりつく。
美味しい。
美味しいけれど、この状況がつらい。

尾形さんは、と言えば、魚を食べる私をじっと見つめていた。

しばし無言で見つめ合う。

「あーん」

私はまだ手をつけていなかった焼魚の串を取って尾形さんの口元に運んだ。

何を考えているかわからない表情のまま、尾形さんは魚に食らいついた。
もぐもぐと咀嚼する様子がちょっと可愛いかな、なんて。

「もぉ、なまえちゃんたら、見せつけるのやめなさい。尾形なんて誰もとらないから〜」

「そ、そういうわけじゃ…」

「ふん。羨ましいならそう言え」

「ちくしょう!羨ましい!!」

「白石さん…」


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