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「ああ……薬研のサラサラな髪を触りたいだけの人生だった……」

「好きなだけ触っていいから、しっかりしてくれ大将」

うつろな目で庭を掃いていたら、薬研に箒を取り上げられてしまった。

「なんでこの本丸こんなに広いの?掃いても掃いても終わらないよぉ!」

「ああ、そろそろ休憩しようぜ。ほらここに座って」

薬研に促されて縁側に座る。
薬研も隣に座ると、持って来たお盆に乗せていたお茶を渡してくれた。
茶菓子は鮎菓子だ。

「この前お取り寄せしたやつ来たんだ」

「ああ。燭台切が大将にって持たせてくれた」

「光忠も薬研も優しい…」

思わずうるうるしてしまう。
この二人に加えて長谷部までもが甘やかすからどんどん駄目人間になっていっている気がする。
でも、審神者としての仕事はきっちりしているから政府としては文句はないだろう。
戦績もなかなかのものだと自負している。

今日は第二部隊が出陣しているから第一部隊と第三部隊、それに控えのメンバーで大掃除の最中だ。
大掃除は師走にするものじゃないかと言われそうだが、年の瀬は忙しいし余裕がないから今の内に済ませてしまおうという計画だった。

しかし、それにしてもこの本丸は広すぎる。
朝からずっと建物の周りを掃いているのだがちっとも終わらない。
休憩しようにもタイミングが掴めずにいたので薬研が来てくれて良かった。

「薬研、よしよし」

「頭を撫でるのはいいが、子供扱いは勘弁してくれ」

「子供だなんて思ったことないよ」

「そうだな、子供とはあんなことは出来ないからな」

「薬研のえっち」

「大将には言われたくないぜ」

ああ、薬研の太ももを撫でくりまわしたい。
撫でながら薬研のものをしゃぶり倒したい。

「まあ、何を考えてるのか大体わかるが、後でな。まだ掃除終わってないだろ」

ちっ。残念。

私は立て掛けてあった箒を手に立ち上がった。

「よーし、じゃあ、さっさと終わらせちゃおう!」

「動機が不純な気もするが、まあいいか」

苦笑した薬研もお盆を持って立ち上がる。

「疲れすぎないよう程々にな、大将」

「ありがとう、薬研。頑張る」

本丸の周りを全部掃き終えたら、大量の落ち葉が集まったので、みんなで焼き芋をして楽しんだ。

焼き芋を食べながら不埒な妄想をしていた私は、その夜薬研を呼んで妄想を現実にしたわけだけれど、さすがにナニをしたかは言えない。

すべては薬研が魅力的すぎるのが悪いのだ。


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