「薬研、ちょっといい?」 「ああ、大丈夫だ。何か用か、大将」 「うん。あのね…」 「?」 私は薬研の部屋に入ると、後ろ手に障子をそっと閉めた。 薬研が近侍部屋に居てくれて良かった、と思いながら。 お陰で誰にも邪魔されずに済む。 薬研は何かの薬の調合をしていたようだが、その手を止めて私のほうに向き直ってくれていた。 「はい、これ」 「もしかして、バレンタインのチョコレートか?」 「うん。受け取ってくれる?」 「もちろん。嬉しいぜ、大将。その様子じゃ、俺のだけ特別なんだろ?」 「うん、そうなの」 受け取ったチョコレートのラッピングをほどいて薬研が感心したような声をあげた。 「へえ、このクッキーにチョコレートクリームをつけて食べるのか」 「そう、良かったら食べてみて」 「ああ、早速頂こう」 薬研がフィンガークッキーにチョコレートクリームをつけて食べる様子を私はドキドキしながら見守った。 「ん、美味いぜ」 「本当?良かった」 「さすがだな、大将」 「光忠に頼んで練習したからね」 「そうか」 光忠の名前を聞いた薬研の目が一瞬光った気がして、目をまたたくと、薬研は微笑んでチョコレートクリームを指ですくいとった。 そして、それを自らの白い太ももへと塗りつける。 「ほら、大将」 「ん」 求められていることを理解した私は、座った状態から四つん這いになり、薬研の太ももに舌を這わせた。 ねろりと甘いチョコレートクリームを舐めとる。 すると、薬研がまたチョコレートクリームを太ももに垂らしたので、私は夢中になってそれを舐めとっていった。 チョコレートクリームはとっくに取れているのに、まだ薬研の太ももを舐め回している私の頭を優しく撫でて、薬研が笑う。 「大将、もっとか?」 薬研が半ズボンのファスナーを下ろすのを見て、私はごくりと喉を鳴らした。 薬研の白い指先がそこにチョコレートクリームを塗りつける。 「続きがしたければ、どうすればいいかわかるよな?大将」 もちろんわかっている。 |