いかにも雪山のペンションといった感じのログハウス風の外観は、誰もが最初にイメージするだろうそれだった。
全室テレビ・エアコン・ユニットバス完備。
宿泊者なら誰でも利用可能な共同浴室は、源泉かけ流しでこそないものの温泉の湯を引っ張ってきているので、たっぷりスキーを楽しんだ後に温泉も楽しめるというわけだ。

その本館とは別に、グループ客向けのコテージが2棟あり、今回私達が宿泊するのはそのコテージだった。
こちらもまたログハウス風の建物で、
2階に3部屋、1階はリビングダイニングとキッチン、温泉の湯を使えるバスルームがある。

そのコテージに、贅沢にも尾形さんと二人きり。

嬉しいようなもったいないような。

とにかく一息つこうと、私達はシャワーを浴びてルームウェアに着替えた。

「手伝うか?」

「いえ、大丈夫です」

最新式のキッチンに、圧力鍋だからシチュー作りもあっという間だ。

「なあ、裸エプロンで作れよ」

「寒いからやです」

「暖房入ってるだろ」

「それでもやです」

「…チッ」

舌打ちしても駄目なものは駄目ですよ、尾形さん。

程なくして出来たシチューを二人で食べていると、玄関のドアをどんどんと乱暴に叩く音が聞こえてきた。

尾形さんが不審そうな顔で玄関に向かう。

一人で残されるのは怖いので、私も彼の背中にぴったりくっついてついて行った。


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