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「本日ご紹介するのは安室・バーボン・降谷抱き枕三点セットです」

「そろそろ人肌が恋しくなる季節ですから、ぴったりの商品ですね」

「セット内容は
・安室透
・バーボン
・降谷零
の三点セットになります。
腕枕で添い寝してくれるだけでなく、料理や洗濯などの家事から、車の運転、ピッキングなどの機能も備わっているので、至れり尽くせりですよ。もちろん、夜のお相手もバッチリです」

「これは凄いですね!でもお高いんでしょう?」

「いえいえ、いまなら30分以内にお電話頂いた方だけに、ハロまで付いてきっかり¥480,000でお届けさせて頂きます」

\おおー/ ぱちぱちぱちぱち

「ええ!?そんなにお安くて大丈夫なんですか?」

「はい、今回限りの出血大サービスです」

「皆さん、こんなチャンスは滅多にありませんよ!さあ今すぐお電話を!」

商品番号0番
安室・バーボン・降谷抱き枕ハロ付きセット
お値段¥480,000
各種クレジットカードご使用できます
送料は楽園ネット負担のため一切かかりません
今すぐお電話下さい。

お電話番号はこちらから





「ただいまあ」

「お帰り、なまえ」

「お帰りなさい、なまえさん」

白ニットにエプロン姿の安室さんとグレーのスーツ姿の零さんが出迎えてくれる。

「ああ、お帰りなさい。もうそんな時間でしたか。遅くまでお疲れさまでした」

奥の部屋からバーボンが出てきて頭を撫でてくれた。
たぶんまたパソコンでハッキングでもしていたのだろう。

「お腹がすいたでしょう。ご飯出来てますよ」

「それより先に俺と風呂に入らないか?」

安室さんが鞄を受け取ってくれて、零さんが上着を脱がせてくれる。
貯金をはたいてこの抱き枕セットを購入して良かったとしみじみ思う。

「冷めちゃうといけないからご飯食べちゃいます。お風呂はその後でいいですか?」

「構わないよ。ゆっくり食べるといい」

「貴方はハロの散歩とトレーニングがあるでしょう。彼女は僕が洗って差し上げますよ」

零さんは小さく舌打ちしたが、確かにそろそろトレーニングに行く時間だったので、着替えるために部屋に入って行った。

「ただいま、ハロちゃん」

「アン!」

私も零さんについて中に入り、ケージの中でお利口さんにしていたハロちゃんとひとしきりスキンシップをとってから、手を洗いに洗面所に向かった。

「あ、今日は和食なんですね」

「ええ。疲れて帰ってきた時は胃に優しいものがいいと思ったので」

「ありがとうございます。嬉しいです」

食卓につき、いただきますをして、安室さんの手料理を味わう。
うん。今日も変わらず美味しい。
何より私好みの味付けだ。
安室さんは我が家に来てから殆どすぐに私の好みを把握してしまった。

「美味しい……幸せ……」

「僕もなまえさんと暮らせて幸せです」

「おい、抜け駆けするんじゃない」

トレーニングウェアに着替えた零さんが部屋から出てきて、椅子ごと私を後ろから抱き締めてくる。

「ありがとう、なまえ。君のお陰で、帰る場所が出来た。俺こそ、君と一緒になれて毎日幸せを噛み締めているよ」

「零さん……」

「じゃあ、行って来る」

「はい、行ってらっしゃい」

行って来ますのキスをして、零さんはハロちゃんを連れて外に出て行った。

「バーボンは何をしてたの?」

「貴女の財産を増やしていました」

「えっ、それって、何か非合法的な?」

「いえ、真っ当な投資ですよ」

それを聞いて安心した。

「お礼を下さい、なまえさん」

「ん」

後頭部を手で掬い上げるようにしてキスをされる。
絡めとられる舌が熱い。
私の胸をやわやわと揉みしだいていた手が安室さんによって止められる。

「お風呂の時間ですよ」

安室さんと一緒にお風呂に入り、身体を洗いあった。
これが零さんかバーボンだったら、お風呂の中で始まってしまっていたかもしれない。
私の身体を洗う安室さんの手はどこまでも優しく、慈愛に満ちていた。

「麦茶をどうぞ」

「ありがとうございます」

お風呂から上がり、リビングのソファで麦茶を飲みながら寛ぐ。
安室さんとバーボンが何くれとなく世話を焼いてくれるので、自分で動く必要がないから心の底からのんびり出来た。

そうする内に零さんが帰ってきて、シャワーを浴びに行った。

明日も仕事があるから、そろそろベッドに入らないと。

「今夜は誰にします?」

「もちろん僕ですよね」

安室さんに耳元で甘く囁かれる。

「お風呂では我慢した分、ご褒美を下さい」

「あ、あ、んんっ」

安室さんの手がパジャマの中に入り込み、明らかに発情を促す意思を持って肌を撫で回した。

「抜け駆けは無しだ。俺もなまえが欲しい」

いつの間にか浴室から戻って来ていた零さんがそこに加わる。

「いっそ四人でヤればいいのでは?」

上も下も愛撫されてとろとろに蕩けていた私の耳に、バーボンのとんでもない提案が飛び込んできた。

「なるほど」

「仕方ないな」

「ちょ……ちょっと待って……!私、明日も仕事が……!」

「お休みしましょう」

「そうしましょう」

「それがいい」

「そ、そんな……あんっ!」

その夜、私は抱き枕三点セットの真の恐ろしさを思い知った。


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