青い空に、青い海。
常夏のリゾートに相応しく、白い砂浜に置かれたビーチチェアに寝そべって、六道骸は休暇を堪能していた。

最近は何かと忙しく、あまり構ってやれなかった恋人も一緒だ。

隣のビーチチェアに座って、運ばれて来たばかりのトロピカルジュースを飲んでいる。

「こんなにのんびりするのは久しぶりだね」

「そうですね」

骸は掛けていたサングラスを外して、隣のなまえに微笑んでみせた。
南国のビーチよりも、夜空に輝く月が似合いそうなその美貌に、なまえはどきりとする。
彼とは長い付き合いになるけれど、まだその蠱惑的な美しさに慣れずにいた。

「君とこうすることも出来なかった」

「あっ、だ、だめっ」

「いいじゃないですか。誰も見ていませんよ」

「そういう問題じゃ…あ、あんっ」

骸はなまえの身体をひょいと抱き上げ、自らの上に乗せると、華奢な身体のあちこちに手を這わせる。
もちろん、本気でどうこうするつもりはない。
この程度は、ただのじゃれあいである。

「もう…悪戯ばかりするんだから」

「そんな僕が大好きなのでしょう」

「うん、すき。大好き」

音で表すなら、イチャイチャ。
二人は人目も憚らずに互いの身体に触れ合い、キスを繰り返した。

ここに彼らを咎める者は誰もいない。

過保護な家庭教師も、うるさいお目付け役もいないので、いちゃつき放題である。

「凪ちゃん達も一緒に連れて来れば良かったね」

「随分と欲の無い…僕と二人きりでは物足りませんか?」

「ううん、本当に二人きりになれる機会ってあまりないから、ここに来られて嬉しい」

「僕もです。ようやく君を独占出来る」

骸は薄い花びらを思わせる唇をなまえの唇に重ねた。
あわく開かれた唇の間から舌を差し入れ、あたたかい口内を隅々まで味わう。
そうすると、拙いながらも、必死に舌を絡め返して来るのが愛しい。

最後に唇を一舐めしてから解放してやると、なまえは頬を染めて蕩けた眼差しを骸に向けていた。
どこもかしこも柔らかな身体も熱を帯びていて、思わず忍び笑いが漏れる。

何も知らなかった無垢な彼女をここまで調教したのは他ならぬ自分なのだと思うと、堪らない。

「部屋に戻りましょうか」

「うん…」


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