チルチルの運命
「例えば、僕と君が何処かで繋がってたとしてさ・・何してんの」
運命なんて言葉、信じる信じない以前に知らないで大人になってしまった僕にとってはそんなの今更知ったところで訳がわからない。理解できない。君曰く小指に結ばれているらしいその糸は僕には見えないのだけれど、君の手を取ってハサミで切る仕草をしてみる。
「君の言う赤い糸をさ、切ってんの」
嫌いだよ。君なんて死にたくなるくらい嫌いなんだよ。赤い糸で繋がってるなんて吐き気すらするでしょ?だからちょっとだけ、切ってあげた。滴る雫が気持ち悪い。このまま切り落としてしまいたい。ハサミを握る左手に力を込めたら。
「知ってる?赤い糸って相手を殺そうとしても切れないんだって」
「・・は」
顔を歪める様子もなく、赤く汚れ始めた本を気にする様子もなく。舌打ちと同時に無機質な音が聞こえれば落ちたハサミのその冷たさで鬱積した思いは増して。うまく丸め込んだ気になって再び本を読み始める姿を見ていると何だか笑えてきて、溢してしまった涙を汚した手で拭うんだ。嗚咽する僕を汚れた手で引き寄せるんだ。
やっぱり嫌いだよ。
お題:赤い糸青い鳥僕は色盲(藍日様より)
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