それから、今日はパンとご飯どっちにしようか
「秋野、あきのー」
時計の針は五時を指す。不快にもならないほど軽い彼女に飛び乗られ起きる。いつも通り。
「何ですか朝から」
枕元に置いてある眼鏡を掛けぼんやりとしていた視界がはっきりと輪郭を現せばいつから起きているのだろうか、その冴えきった目を細めにんまりとして答える。
「これみる」
眼鏡にぶつかった四角い箱はその見た目から内容がおぞましいほど伝わってくるスプラッタ物のDVDである。こんなものどこから借りてくるのだろうか。いや、それよりも眼鏡に傷がついてはいないだろうか。
「駄目です。子供は見ちゃいけません」
今日の獲物を取り上げられた彼女は泣く様子も怒る様子もなく。バタバタと羽毛を飛ばしながら潜り込んで来る。
「じゃ、寝る」
いつものパターンで返事する間もなく眠りに入ってしまう。対して目が冴えてしまった私は日に日に薄くなっていく羽毛布団の柄を眺めながら悩む。
今度隣人さんに会ったらあの子に変な趣味を植え込まないよう言っておかねば。
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