毛布は三枚。下に敷くものが三枚。結構な重さだがこの身体は優秀で、それらを一気に持つことができた。嵩張ってしまい前が見えない。顔を傾けてそれらを運び、あの鬱々とした部屋に戻る。部屋の中の住人は反応するのも疲れたのか誰もこちらを見なかった。
私は毛布の一枚を白い子に、もう一枚を同田貫にかけて、次に目を向けたのが壁に背を預ける長髪の少年だった。私は毛布の一枚と敷き布団を三枚、彼の近くに下ろした。
少年はびっくりした顔で私を見上げる。
「え……? これ、って……」
目で部屋の隅っこに固まってる彼らを見て、彼らに渡せと促す。だが、長髪の少年は戸惑ったまま動かない。
「あ、これ、は……遠征に、行ってるやつらの、もんだし……」
毛布を血で汚すのが嫌なのか、できるだけ身体を離そうと尻で移動する。
「それは、兄弟が頑張って、俺の分まで……だから、俺は……」
「あぁ、もう……蜻蛉切、なにを、してるんだい……!」
顔を向けると、紫の髪の男が床に伏せたままこちらを睨んでいた。
私は彼にそんな目で見られるようなことをしただろうか。
毛布を持ち上げて彼を見ると、ふっと息を吐いて苦笑した。
「……君は、変わらないねぇ……。敷くも、のを、くれないか……床は、雅じゃない……」
私は敷き布団を一枚抜き取って、紫の髪の男のところに行った。床に敷いて、その上に彼を転がす。薄いものだが無いよりかは良いだろう。
もう一度長髪の少年のところに行く。少年は苦悶と表現するにふさわしい顔で迷っていた。部屋の隅っこで身を寄せ合い、暖をとる彼らに目を向けて、そして諦める。
「うん……寒い、もんね……」
少年は動けないほど弱っていたみたいだ。私は彼の代わりに子供たちに毛布をかけた。