鬱とん、審神者を殺す | ナノ


※?  


 燃える。燃えている。本丸が燃え、刀達が逃げている。
 違う、違う、こんなつもりじゃなかった。

 燃えている。手が焼け爛れ身を削っていく。
 邪魔しやがって。邪魔しやがって!!

 こんなつもりじゃなかった。
 違う、望んだことじゃない。手が焼け身が崩れ土に還る。

 見たことのある影が焼けていく腕を掴み、引きずる。室内にいた俺を引きずり、逃げろと声を荒げる。駄目だ駄目だ、この部屋から出たらどうなるか分からない。やめてくれここから出たくない。

 熱い、熱い、この火を消してくれ。
 腕を引っ張っていた誰かが崩れて炭になる。これで部屋にいられる。
 熱い、熱い、熱い。本丸をドタドタと走り回る音。火に炙られる鉄板の上で踊る人型。
 声が聴こえる。悲鳴が聞こえる。

 崩れていく。何度も身体が焼け爛れて崩れ、何度も手のひらを見つめて炭になる場面を何度も何度も何度も何度も。腕を掴まれて逃げてと泣き叫ばれる。その手も炭になる。全部全部、炭になる。
 刀も肉も全て。

 邪魔なんてさせない、今度こそ、今度こそ。
 腕が掴まれる。見上げる。笑っている。逃げて! 許さない。守ります、駄目だ、誰かが泣いている、誰かが引き止めている、笑っているやつを止める、俺を止める、折る。折る。折る。
 許さない。刀が自害する。折る、折る、何度も。

 身体が崩れた。
 そうして、目を覚ます。

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