今日はおべんきょうのじかんです。

 私にべんきょうを教えてくれる、せんぞくの教師に怒られました。
 教えてくれたことの問題が、分からなかったからです。

 その人は次の日から来ませんでした。
 これでもう怒られないと、私は喜びました。

 次の日は、違う人が来ました。
 私にべんきょうを教えてくれる、せんぞくの教師に呆れられました。
 教えてくれたことの問題が、とても楽しそうに踊っているように見えたので、つられて一緒に遊んでしまったからです。

 その人は次の日から来ませんでした。
 がっかりさせてしまったみたいです。私は悲しく思いました。

 次の日は、違う人が来ました。
 私にべんきょうを教えてくれる、せんぞくの教師にほめられました。
 教えてくれたことの問題が、私に語りかけてきたので、つられて楽しく一緒に会話したからです。
 そうやってほめてくれる人は今までいなかったので、私は嬉しく思いました。
 もっとべんきょうをがんばろう。私はそう思って、笑いました。


 その人は次の日から来ませんでした。


 私は泣きました。
 どうして? あの人も私にあきれて、来なくなったの?
 いつの間にかそばにいた男の人が言いました。とてもふしぎそうに、言いました。

――君は一番最初の人間が来なくなった時、喜んだじゃないか。どうして泣いているんだ?

 あの人は怖い顔で私を怒ったからです。
 きっと私のことが嫌いだったんです。

――君は次の人間が来なくなった時、悲しく思っただけじゃないか。どうして泣いているんだ?

 あの人はしかめ顔で私にあきれていたからです。
 きっと私のことが嫌いだったんです。

 男の人はふしぎそうに、本当にふしぎそうに笑いました。

――君のことが嫌いだった? いいや、違うよ。最初の人間は君が話を聞いていなかったから怒ったんだ。君のために怒ったんだ。次の人間は君に期待していて、君が馬鹿なことをしたから呆れたんだ。君が嫌いだったわけでも、嫌いになったわけでもないよ。でも最後の人間は、

 男の人はやさしく笑いました。それはこまっているようにも見えました。
 金色の稲穂がふわっとゆれて、空色が細くなって、涙でにじんだ世界でそれはとてもきれいに見えました。

――最後の人間は、君が嫌いだったみたいだ。君は彼の持っていたナイフに気付いていなかったみたいだけど

 あの人は笑っていました。でも、あの人は私が嫌いだったみたいです。
 男の人も笑っていました。なら、目の前の人も私が嫌いなんでしょうか。
 それの答えを聞くのが怖くて、私はさめざめ泣きました。
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