2020/06/14

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 火山にはおやっさんに似た魔物がいるらしい。
 時の勇者が「そういえばね〜」と朗らかに教えてくれた。
 時の勇者についていくことになって私は早々にホームシックになりおやっさんのところに帰りたいと常々思っていたのだが……こいつ、こいつ……!
 うきうきと「見に行く?」と言って連れていかれ、そこにぴょんぴょんと跳ねる赤いテクタイトが「アァン?なんだテメェ、夜呂死苦すんぞ!」と襲い掛かってきた際には時の勇者を全力で呪った。
 私が襲われそうになっているのを見て「危ない!」とメガトンハンマーなるものを使って赤テクタイトをひっくり返したのを見た私はコイツは鬼だ、と思った。
 ひっくり返った赤テクタイトは四本の足をわしゃわしゃ動かして「テメェ〜〜〜!」と怒っていた。私は時の勇者に平手打ちをお見舞いした。華麗に避けられて私は悔しさに歯噛みした。

『この、鬼畜野郎!!』
「え……何怒ってるの……? 助けてあげたのに」
『くそおお!! 普通におやっさんのところに行けばいいだけだろ! なんなんだよ! 似てるからってこんなところに連れてくるな! 馬鹿ぁーーー!!』
「な、なんかごめん……?」

 時の勇者は全力で分かっていなかった。
 私はもう一度平手打ちを見舞ったがやはり避けられるだけだった。
 こ、この馬鹿ァ!!



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