あのバカをブン殴る。
女?
イイエチガイマス。
アレは敵デス。
早く出て来いクソが。
次の体育に備えて更衣室に入ったことなんざお見通しなんだよカス。
腕を組んで柱に凭れ、出てくる女子一人一人を睨む。
まさかあの女の味方しねぇよ、な?
「くくくく倉持くん!みょうじさんなら……窓からさっき逃げたよ…」
「!? ああ、ありがと」
よほど俺が怖かったのか、顔を赤くし震えながら密告してきたのはクラス委員長。
礼だけ言ってあのボケナスを追いかけた。
あろうことか、その姿はすぐに見つかる。
自分の部室の前で、純さんに腰振ってた。
「ジュンサン!フィー○キー!」
「…?!」
「ドゥーザティーサー「ニー○ラ」フゴッ!!?」
不審者のニーブ○成功。
「…く、倉持?」
助走をつけて思い切り蹴るとか、このクソボケオタンコナスぐらいにしかやらねぇよ。
目の前を吹っ飛んでいったモノと俺を交互に見る純さん。
「バカがすんません、お邪魔しました。オラ!バカアホ歩けクズ」
伸びたクソの首根っこ掴んで無理矢理起こす。
小さな悲鳴が聞こえたけれど無視。
「お、おう………あー…倉持!」
さぁどう痛ぶってやろうか舌舐めずりをしたところで呼び止められる。
「一応、それでも女…だから、な?」
残骸を見てひどく言いづらそうに、言葉を濁した純さんは本当優しい先輩。
運が悪ければ、あんたが逆セクハラにあってましたよ。
俺がきちんとシメときますんで。
「任しといてください」
オラ、歩け自分の足で処刑台まで。
この後、教室に戻って、ポスカで頬に
【倉持くんのパンを食べました】
と書いてやって、体育の授業を受けさせた。
「みょうじ〜…謝ったのか〜?」
「え、先生??ここまでされて謝る必要あります?!飛び蹴りまで食らったんですよ?!求愛中の好きな人の前で!!」
「……いや、まぁ…アレだな。謝っとけ」
公開謝罪は後の笑いぐさ。